cellinteractive

2023.06.15 Blog

Awwwards Conference 2023 レポート |後編

5月にトロントで開催されたAwwwards 主催の Digital Thinkers Conference 2日目の様子をレポートします。

1日目の様子は前編をご覧ください!

 

 

Day2

前日の学びの余韻を感じづつ、2日目がスタートしました!

 

 

 

○Designing For The Unseen

by Ali Hosseini

 

MILAN Webionicsの代表Aliさんがお話しされたのは、Webサイトにおける視覚的情報以外でユーザーエンゲージメントを高める要素についての考察。深く吟味された意味を持つ「包括的なサイト体験やストーリー性」が潜在意識的なモチベーションを高め、ユーザーとのつながりを強めるとしました。

 

1日目のトークでも何度かあがったように、AIが普及していく社会の中で、デジタルにおいての「人間らしさ」が、よりプロジェクトを特別なものにする鍵になるのではないかと思います。

 

 

 

○How We Created The NBA Pixel Arena: The Future Of Fandom

by Amelie Maia

初日のアフターパーティーを主催したJam3からは、Creative Technical ArchitectのAmelieさんがNBAとGoogleが連携して提供するPixel Arenaという仮想空間アプリの制作秘話をシェア。アプリを介して世界中のNBAのファンが、今までにない交流体験を実現できるようになりました。

 

壮大な3D空間や入念に設計されたUI・インタラクションですが、プロジェクトの期間はなんと12週間。総勢150名の大規模プロジェクトだったそうです。制限がある中でどこまで挑戦できるか、制限があるからこそのひらめきや提案が、制作チームとクライアントの両者満足につながりプロジェクトを成功に収めるファクターなのだと考えさせられました。

 

 

 

○This Could’ve Been An Email

by Simon D’haenens

DOGSTUDIO/DEPT®でリードデザイナーを務めるSimonさんは、身の回りに溢れる情報によって注意が分散してしまいがちな昨今において、ユーザーの注目をしっかりつかむデザイン作りの秘訣を紹介してくれました。

 

Simonさんが提示したポイントは下記の3つ

①Purpose(目的=なぜやるのか)

└過程で生まれたプロジェクトのエネルギー(パーソナルなつながり)を高め、その感情がアウトプットをより意味深いものにするという考え

②Perspective(観点)

└アウトプットは作り手の見るものや知っているもので制限がかかってしまう

└インスピレーションを見つけ、囚われている枠組みに気付き、アイデア同士をつなげたりシェアをしよう

③Presence(存在感)

└「impact image」は一瞬で注目をつかみ、行動への動機形成を促す

特に①のPurposeの考え方は、1日目のIsabelさんが「Eyes Wide Open」でお話しされていた、プロジェクトとのつながりを「感情」のレベルで見つけるという内容と重なっていて、個のエモーションを尊重する姿は、ユニークな価値の創出やAIにできないことを模索する今のクリエイティブ業界での打開策のように感じられました。

 

 

 

2日目終了

2日目終了後はAwwwards主催のアフターパーティーへ。世界中のクリエイターたちと、2日間を振り返っての意見交換や各国での働き方、仕事の進め方、私生活(愚痴も少々…)などコミュニケーションを通して交流を深めました。

 

 

 

2日間を振り返っての気付き

「AIとクリエイティブについて」

→人間との関係性についての議論や、クリエイティブを通じていかに深くユーザーとのつながりを作っていけるかなど、AIにはできない方法で価値を生み出すことに関するトークやメソッドが注目を浴びていました。

 

「新しい技術を取り入れることを恐れない」

→リソースなどの制限がある中で安心安全にプロジェクトを進めるとなると、慣れ親しんだ技術を用いての提案となりがちですが、「トライアンドエラーで挑戦していこうよ!」というモチベーショナルな言葉も多かったです。これは今回のイベントに限らずAwwwardsがこれまで発信しつづけてきたメッセージと同じで、未知の中から可能性を見つけて、業界ごとひっぱっていくようなエネルギーを感じました。

 

「デジタル空間のデザイン」

3Dモデリングを用いた世界観デザインとデジタル3D空間のワーク事例が印象的でした。今回あらゆるプロダクションが、平面的なWebから3D空間のWebへと進化したプロジェクトを紹介しており、平面の重なり(レイヤラブル)的なWebサイトではなく、没入感がある世界構築のように、Webサイトを立体的に捉えた事例や取り組みが評価されていました。

 

ハイブリッドな役回り」

→プレゼンテーションの内容もさることながら、2019年(前回弊社メンバーが参加した時)と比較し、UIデザイナー、UXデザイナー、戦略コンサル、ディベロッパ…というような役職別の役割分担はもはや融解しているように感じられました。やや拡大解釈気味ではありつつ、一人のクリエイターがクリエイティブに対して非分業的なワークフローで創作している人が登壇している、と感じ取ることができました。

 

 

 

今回このイベントに参加して普段の生活圏を大きく離れた環境でたくさんの人に出会い、学び、刺激を受けることができました。この学びを普段の業務にも活かし、さらにレベルアップしたセルインタラクティブをお届けします!お楽しみに!